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「伝統と革新」の精神を大切に“法衣”を通じて仏教界の魅力と価値を未来に繋ぐ

株式会社鈴木法衣店
2026/07/11

 

仏壇・仏具店が立ち並ぶ台東区稲荷町を本拠に、4代109年の歴史を持つ老舗法衣店。僧侶が身にまとう袈裟や衣を中心に、衣料小物や仏具、消耗品など、お寺に必要とされるあらゆる商品をワンストップで提供する。

競争力の起点となるのは、埼玉県の自社縫製部門の存在だ。多様なニーズへの柔軟な対応や、納期・品質の確実な管理を可能とし、特に天台宗・真言宗の寺院向けでは過半のシェアを占めるほど高い信頼を獲得してきた。一方、専門学校と連携して伝統の技術を受け継ぐ職人の採用・育成・待遇改善を図るなど、市場の未来を見据えた挑戦にも意欲的だ。

今後はサプライチェーンの安定化や、新たなニーズに応える業界初となる商品・サービスを開発するなど、「伝統と革新」の両面から、法衣界の魅力と価値を次なる可能性に繋いでいく。

※「週刊ダイヤモンド」2026年7月18日・25日合併号。会員企業クローズアップより転載

 

鈴木法衣店/取材こぼれ話(事業の特徴や強さの基盤、注力中のテーマ)

法衣の幅広いニーズにワンストップで対応

鈴木法衣店は、仏壇・仏具店が立ち並ぶ台東区元浅草に本拠を置き、109年の歴史を刻んできた老舗企業だ。全国の寺院の約3割を占める天台宗・真言宗のマーケットにおいて、50%を超える圧倒的な市場シェアを誇っており、業界内で極めて強固な実績と信頼を築き上げている。

・商品の網羅性の豊富さ:僧侶が身にまとう袈裟や衣はもちろんのこと、念珠や履物などの小物類、密教法具や護摩用品といった専門的な仏具、さらには線香やローソクなどの消耗品に至るまで、寺院運営に必要なあらゆる品々をワンストップで提供している。また、単なる物販に留まらず、業界に先駆けて開始した宅配クリーニングや修理などのアフターケア体制も整えており、法衣のライフサイクル全般を支えるプラットフォームとしての役割を担っている。

自社製造を支える徹底した管理力と職人育成

多くの法衣店が外注に頼る中、埼玉県に自社縫製工場を構え、製造工程をしっかりコントロールしている点が独自の強みだ。

・品質と納期の徹底管理: 自社内に製造部門を持つことで、品質の安定と、顧客の希望に合わせた納期の確実な履行を実現している。

・柔軟なカスタマイズ対応: 「好みに合わせて仕様を変更したい」など、細かな個別要望に対し、自社職人が一つひとつ応える柔軟性が、顧客からの絶大な信頼に繋がっている。

・若手職人の採用と若返り: 業界平均が60代とされる中、和裁専門学校と提携して若手を採用し、平均年齢を40代後半から50代前半まで若返らせることに成功した。

・ワークライフバランスの追求: 技術習得後は自宅でも自由に働ける体制を整えており、現代のライフスタイルに合わせた技術承継の場を提供している。

 

 

現社長の意識転換:「祈りの財産」としての法衣への回帰

入社当時は効率性ばかり重視していた現社長。「法衣は消費財ではなく、祈りの込もった財産である」という顧客の想いをうけて、伝統的な精神性を守りつつ現代のニーズに応える「伝統と革新」という同社の指針は、より現場の思いに丁寧に応える内容へと進化している。

 

独自技術と現代的な経営モデル

・機能性素材の導入: 伝統を重んじつつも、アパレルメーカーと連携し、「接触冷感」「静電気防止」「防炎加工」など、顧客の要望に応える機能を備えた新素材を積極的に導入している。

・ITによる業務効率化:「kintone」などのクラウドサービスを全面活用した業務管理や、iPadやLINEによる営業活動など、旧態依然とした業界に現代的なスピード感と透明性を持ち込んだ。

・価値観共感型の組織: 過去の組織危機を教訓に、現在はスキル以上に「企業文化と理念への共感」を重視した採用を行っている。

 

今後のビジョン・展開

・「憧れの業界」への変革: 収益を製造現場へ適切に還元することで職人の待遇を改善し、若い世代が誇りを持って働ける魅力ある業界構造の構築を目指している

・「伝統を陰から支えるパートナー」への役割の変革: 顧客の法衣にまつわる管理・メンテナンス負担を仕組みで解消するサービスの提供と、仏教や法衣の魅力を社会に届ける取り組みを構想している。

 

会社概要

株式会社鈴木法衣店 代表取締役社長 鈴木 貴央 氏

設 立:1970 年1 月(創業 1917 年)
資本金:2,500 万円
従業員数:36 名

https://www.suzukihouiten.jp/

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