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創業から100年超。“きれいな水”を究め続けてきた濾水機メーカー【週刊ダイヤモンドMI連動】

日本濾水機工業株式会社
2021/09/17

「東京ドーム満杯の水に不純物はわずか角砂糖一個分」という極限なまでの〝きれいな水〞を実現する、歴史と実績に裏打ちされた高度な技術力が強み。濾過筒、濾過機、水処理装置の製造からプラントエンジニアリングまでの幅広いニーズに、設計・製作から施工までの自社一貫体制を構築。特に注射液などの医療用水向けで、高い評価を確立している。

近年は、あらためて創業の原点である濾過事業に注力。セラポアやセラマックなど、競争力の高い自社商品の特長を生かせる新市場を開拓し、バイオテクノロジーに欠かせない酵素メーカー、ワインなど醸造酒メーカー、製造業全般でクーラント液や洗浄油の濾過などの引き合いが増えている。一方、珪藻土など自然由来のもので作られるフィルターの特性から、環境面からのアピールにも力を入れる。

(週刊ダイヤモンド2021/9/21号P.68「マンスリーインフォメーション」より転載)

 

日本濾水機工業の強さをキーワードで読み解く ~取材こぼれ話~

濾過のニーズにトータルで応えるエンジニアリング企業

創業者の橋本精士は薬剤師の出身で、かねてから〝菌に汚染されていないきれいな水〞の重要性を痛感し、衛生環境の向上に努めるべく国産濾過フィルターの研究に取り組み始めたのが私たちの会社の原点です。ここからも分かる通り、社会的使命を強く持って生まれた会社であり、その姿勢が今も変わらず当社の企業文化の底流にあります。

濾過事業の出発点は、1918年の秋に完成した濾過筒です。珪藻土を主体とした素焼きの筒状のもので、目詰まりしても表面を削ることで100回ほど繰り返し使用ができる、非常に経済的で自然にやさしいもの。現在発売している濾過筒もこの頃の原理ほぼそのまま踏襲されている非常に先進的なものでした。

当初は濾過筒の販売だけでしたが、やがて「濾過筒のパフォーマンスをより高めるために」と、濾過機械の開発に着手。さらに「原水タンクから前処理、精製水製造装置まで」を一気通貫で対応できるエンジニアリング業務も手掛けるようになり、濾過のニーズにトータルで対応できる会社へと育っていきました。

得意とするのは、純水もしくは超純水と呼ばれる、極限までの”キレイ”を究める技術。体の中まで浸透する化粧品や医療関連など付加価値の高い領域に注力し、中でも高難度の注射用水は「東京ドーム満杯の水に不純物はわずか角砂糖一個分」という高純度を実現しています。

同じ地下水でも、地域によって土壌の影響で成分はかなり違います。そういった濾過前の水の違いを一つひとつ分析し、その水に合わせた濾過システムを構築していくなど、私たちの柔軟な対応力、技術力、提案力の高さなどが支持され、この分野では国内でもトップクラスのポジションを獲得することができました。

 

創業事業である濾過フィルターに回帰し、新たな事業の裾野の拡大

濾過機から濾過機械へ、濾過に関するトータルエンジニアリングへと業務を拡大させてきた当社ですが、近年は創業事業である濾過フィルターに回帰し、新たな事業の裾野の拡大を図っています。医薬・化粧品向けの濾過市場が熟成し、未知のマーケットを開拓していく必然性を実感してきたことと、そのなかであらためて当社のフィルターのポテンシャルの高さを実感し、競争力の高い事業を構築できると考えたからです。

その対象領域として注目しているのは”発酵”に関する分野、ならびに工場で使う洗浄液などの濾過の分野です。

前者は、例えば健康食品や加工原料として使われる酵素、またワインなどの酒類でも引き合いが増えています。酵素分野はまだまだこれから成長が見込まれる分野であること、ワインは近年国産ワインの市場が拡大していますが、これまで海外製の濾過機を使っていられる蔵が、コストやメンテナンスで優位性を図れる国産の濾過フィルターに注目していただけるのではないかと考えているからです。

一方工業用では、洗浄液も高い品質や精度が求められるため、使いきりであることが多かったり、再利用時の品質に不満を持たれる企業が多かったようで、そこに私たちの技術が役に立てると思うのです。洗浄液・洗浄油を使う工場はあらゆる業界にわたるため、非常に大きなマーケットがあると期待しています。

振り返ってみると、創業者の考え方は現在のSDGsにつながるものが多数あります。当社の濾過筒もまさに自然由来のものであり、繰り返し使える環境に優しいもの。今の時代にふさわしい商品と言えます。そういった私たちの姿勢や商品の魅力が、社会のニーズに合致すること、未来の地球にとって価値があるものであることをしっかり周知しながら、新たな事業の可能性に挑んでいきたいと考えています。

 

会社概要                                      

日本濾水機工業株式会社 代表取締役社長 橋本 美奈子 氏

創 業 : 1918年6月
資本金 : 6,000万円
社員数 : 85名
年 商 : 18億円(2021年2月期)

https://rosuiki.co.jp/

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