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専門クリニックや著書・講演を通じて、がんの免疫細胞療法の浸透に努める【週刊ダイヤモンドMI連動】

医療法人社団ビオセラ会
2021/04/16

手術や抗がん剤、放射線などの従来の三大がん治療に加えて、 “第4のがん治療”として近年注目を高めている免疫細胞療法。東京女子医科大学消化器外科、米国ミシガン大学腫瘍外科を通じて、がんワクチンや樹状細胞ワクチンの研究に携わったのち、2001年に専門治療を行うビオセラクリニックを立ち上げ、がん治療の新たな可能性を提唱してきたのがビオセラ会の谷川啓司理事長だ。

著書『がんを告知されたら読む本~専門医が、がん患者にこれだけは言っておきたい”がん”の話』は10刷のロングセラーになっており、定期的に講演やセミナーも実施。患者それぞれの気持ちに寄り添い、「がん治療に向き合う意味を一緒に考え、少しでもいい闘病に向かうようにお手伝いする」傍ら、定期検査による早期発見の大切さも日々説いている。

(週刊ダイヤモンド2021/4/24号P.68「マンスリーインフォメーション」より転載)

 

医療法人社団ビオセラ会の強さをキーワードで読み解く ~取材こぼれ話~         

免疫細胞に寄り添う”コーチ”のような療法

がんの治療というと、手術や抗がん剤、放射線の三つが主に挙げられますが、免疫チェックポイント阻害薬の「オプジーボ」のノーベル生理学・医学賞受賞を機に、近年大きく注目が集まってきたのが、免疫療法という第4の治療法です。

免疫という言葉は非常に広義に捉えられており、なかなか分かりにくい面も多いのですが、人間が本来持っている免疫の力を高め、いかにがん細胞を排除する力を上げていくかといった考え方が基本になります。

がん細胞は、「増殖すること」「転移すること」が大きな特徴です。その結果、意味のない細胞が体中に増えて、本来の機能が壊され、死に至るという病気です。

三大治療のうち抗がん剤は、その増殖のスピードを弱めようというものです。しかしがん細胞を死滅させる薬ではありません。ではがん細胞を壊すのはだれか、それが免疫です。実はがん細胞の増殖中も免疫は働いており、一定数のがん細胞は排除され続けているのです。ただ、がん細胞の増殖スピードが免疫の攻撃力を上回るため、結果的にがん細胞が増えていくことになるのです。

免疫が正常ではないもの(異物)を排除しようとする働きですが、ここで問題になるのが、「がん細胞は正常細胞と見分けにくい」ということです。それが免疫のがん細胞への攻撃力を低下させています。

私たちの免疫療法は、この問題点にスポットを当てたものです。「こういった特徴を持つ細胞が、がん細胞だ」という判断の情報を免疫細胞に提供し、さらに個々の免疫細胞の活性化を促す。いわば免疫細胞に寄り添う”コーチ”のような形で、治療を施すのです。

具体的には、「樹状細胞療法+活性リンパ球療法」の組み合わせからなっており、樹状細胞の働きでがん細胞を認識したリンパ球の種類や数を増やし、がんを攻撃する力を高めるという手法になります。

間違ってほしくないのは、免疫療法は従来の三大治療と相対するものではないということです。手術、放射線、抗がん剤は、すでに多数の治療実績があり、治療としておおよそ確立されたものです。あくまでもその上乗せとしての効果を求める場合、もしくは三大治療では壁にぶつかったときなどの対策として考えていただければと思います。

 

『がんを告知されたら読む本』がロングセラーに

私は、東京女子医科大学消化器外科で外科医として働いていた時に、がんの免疫療法の可能性に関心を持ちました。そしてアメリカに渡り、ミシガン大学腫瘍外科で、免疫細胞療法や遺伝子治療、さらにがんワクチンや樹状細胞ワクチンの研究に携わりました。

1999年には再び東京女子医科大学に戻り、がん免疫細胞療法チームとしてがん免疫細胞療法の臨床研究や臨床試験を行ってきました。しかし免疫細胞療法自体にお金がかかり、大学で得られる研究費だけでは臨床試験はそれほど多くできるものではありません。そこで治療を望まれる患者のためには自費診療での治療を行うことを考えましたが、免疫細胞療法は保険診療ではないことから、混合診療の問題(保険診療と自由診療を並行して行うと全額が自由診療の金額になる)がありました。

それでも免疫細胞療法を希望する患者さんは着実に増え続けており、2001年に専門治療を行うビオセラクリニックを立ち上げたのです。

一方で、がんの患者さんと向き合う中で、多く方はがんという病気やその治療について、あまりにも漠然とした認識しかないため、結果的に何もわからない不安の中で日々送られていることに気づきました。これががんを診断された後、たとえがんの症状がなくても、大きな心理的ストレスとして日々悩み続けられている原因だと考えました。そこでがんやがん治療の啓蒙を深めるために、講演や書籍の発行も積極的に行っています。なかでも「がんを告知されたら読む本」は10刷・3万部近いロングセラーになり、がん患者の方の多くの方に知っていただけるまでになりました。

ただタイトルこそ「がんを告知されたら」と書いてありますが、本音ではがんになってない方にも知っていただきたい内容です。早期発見こそ、がん治療において非常に重要なことだからです。

ダイヤモンド経営者倶楽部の会員の皆さまは、中小・中堅企業のオーナー経営者が多いかと思いますが、それはすなわち経営者ご本人が健在でいることが企業の命でもあります。がんは現在日本人の死亡原因の第一位であっても、早期にみつかれば治癒することが十分可能になってきました。だからこそ経営者の皆様は常日頃からがんの早期発見に努めなければいけません。

私はよく経営者の皆様には、年に二回はがん検診を受けてほしいとお伝えしています。半年に一度であれば、万が一がんの発見を見落とされたとしても、次の検診で進行がんになる前に発見する可能性が高くなるからです。そしてできればがん検診を受ける際、1つの病院に任せてしまうのではなく、2つの病院に分けて併用することをお勧めしています。

私がこの仕事で大切にしていきたいのは、患者さん一人ひとりの気持ちに向き合い続けることです。ただ単に治療をすればいいというものではなく、がんにかからなかったらできたことをできるようにするため、「元気で長生き」を前提に、それぞれの患者さん寄り添いながら、がん治療の目的をそれぞれしっかり定めていく。そしてより良い人生の後押しができる存在であり続けたいと考えています。

 

会社概要

医療法人社団ビオセラ会 
理事長/医学博士 谷川 啓司 氏

設 立: 2001年8月
資本金:1000万円
従業員数: 20名

https://www.bio-c.jp/

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