都心の新築マンション開発の実績を起点に、アパートメントホテル事業にも着手
東京23区内の生活利便性に優れた立地で展開する新築マンション(「Casa」ブランド)の開発が事業の主力。1棟あたり10〜25戸、5億〜10億円規模の付加価値性の高い物件を、投資家向けに一棟売りで販売する。
用地仕入れや事業性判断の迅速な意思決定が強みで、工期10〜11ヶ月という短いサイクルで事業を推進。複数の建設会社との強固なパートナーシップを生かし、人手不足・材料高騰の逆風下でも年間供給数は着実に伸長している。
今後の新たな柱として見込むのが、アパートメントホテル事業だ。広い室内を確保した中長期滞在型ホテルを想定して、都心好立地での開発を進めている。一方、事業を通じて得た収益を社員や家族、社会へ還元する「ソーシャルデベロッパー」としてのあり方を、常に追求し続けている。
※「週刊ダイヤモンド」2026年9月19日・26日合併号掲載、会員企業クローズアップより転載
京橋アートレジデンス 取材こぼれ話
~社名に込めた思い、強固な事業モデル、「社会課題解決」を重視する理念~
リーマンショックの危機を好機に変えた「MBO」の独立
・京橋アートレジデンスの原点は、2010年に実施されたMBOにある。前身である不動産会社の役員を務めていた西谷社長が、子会社を買い取る形で独立を果たした。これまで培ってきた企画・開発の経験を活かし、独立当初からマンションの事業企画、新築戸建て、宅地開発、木造テラスハウス開発など、幅広い不動産開発事業に取り組んできた。
その後、企業としての事業基盤が整ってきた段階で、強みである土地の仕入れ力と企画力を活かし、1棟売りの賃貸マンションの開発へと本格的に舵を切る。
・その後、プロマーケットへの上場を機に「京橋アートレジデンス」へ社名を変更した。骨董通りなどがありアートの街として名高い京橋の地域性と、自らの「物作りにおける創造性」を高めたいという強い想いが、その名に込められている。
即断即決を可能にする「標準化されたビジネスモデル」と社内体制
・手がける物件は、23区内の駅近の非常に需要の高い立地に徹底特化している。この明確なターゲット設定に合わせた、商品企画や仕様(若い入居者に好まれるモダンなコンクリート打ちっぱなしなど)が高い支持を受けている。開発規模としては、1棟あたり10〜25戸、5億〜10億円のレンジが主力となる。
・土地の仲介会社から新規の情報が持ち込まれた際、「その場でおおよその収支判断(ボリュームプランと利回り計算)を下せる」ほど、意思決定プロセスが仕組み化されている。この「圧倒的な決断スピード」こそが、優良な土地情報を最優先で引き寄せる源泉となっている。
築難時代を切り抜ける「地場ゼネコンとのローテーション施工体制」
もう一つの大きな優位性は、地場ゼネコン約10社と強固なパートナーシップのもと、工期10〜11ヶ月の短工期で物件を完成する施工力にある。施工会社側にとっても、工期が短く確実に利益が出る同社の高回転案件は、職人の配置を安定させやすく非常に魅力的なため、強固な信頼関係が成立している。
新領域への挑戦:中長期インバウンドを掴むアパートメントホテル
2028年夏からの順次開業に向け、同社は「アパートメントホテル」という新たな挑戦に乗り出している。客室は40〜50平米と広く、中長期滞在するファミリーやインバウンド層を意識した設計となっており、需要が非常に強い都心エリアにドミナント展開することで運営効率を最大化していく予定だ。同社が一部出資するホテル運営会社との協業で、自社ブランドでの開発から確実なホテル運営までの一連の体制を構築している。
利他の精神が描く「ソーシャルデベロッパー」としてのこだわり
「得た利益は社会へ還元したい」という強い信念を持ち、社会課題の解決を体現する「ソーシャルデベロッパー」としての立ち位置を重視している。具体的には、家賃高騰に悩む層向けにフィリピンの現地会社と進める低所得者・中低所得者向け住宅の共同開発や、再生可能エネルギー開発(発電所・蓄電池導入検討)、スタートアップ投資、障害者支援など、多角的な社会貢献活動を模索している。「独り占めせず他者と一緒に成長する」という代表の利他の精神こそが、同社を次のステージへ導く最大の原動力となっている。
会社概要
株式会社京橋アートレジデンス 代表取締役 西谷 明久 氏
設 立:1996 年3 月
資本金:1 億円
従業員数:26 名
売 上:83億1800万円(2025年11月期)
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